その人生は苦い
先日、朋輩のフーコーと打ち合わせ中、人生におけるほろ苦い体験を語ると云うことになった。
ダビ「そんなのものいくらでもある。しかしながらほろ苦いのか、苦々しいのか良く分からん」
フコ「それじゃダメだ。今、重要なのは『ほろ苦さ』なのだ。苦い経験なんて聞きたくない」
とうそぶきやがる。
ダビ「それじゃ交際している女の家で二人で寝ていた寝所でワタクシが寝小便をした。は?」
フコ「苦い。それは苦すぎる。時にそれは幾つの時分の話だ?」
ダビ「22〜23歳頃だ」
フコ「苦っ」
ダビ「しかもそれは女の実家での出来事だ」
フコ「苦っ」
ダビ「これはどうだ。ワタクシより年少の若輩者の女を横恋慕して、若輩者にこてんぱんに痛めつけられた」
フコ「苦っ!」
ダビ「その前に一度土下座をさせられた」
フコ「苦っ!!」
ダビ「土下座をしたのに痛めつけられて右足の靭帯を損傷し、松葉杖をつく生活をしていた」
フコ「苦っ!!!」
ダビ「これはどうだ…」
フコ「もうやめてくれ…聞くに堪えない…心臓の音が聞こえてきそうだ」
ダビ「そうか?まだけっこうあるゾ」
フコ「分かった。人生におけるほろ苦さは、己の心の中でしまっておくのがよかろう
それにしても貴公は女ばかりで失敗を繰り返しておるのだな」
ダビ「女に甘い。と云うことか」
フコ「そうだな。甘いと云うか…まぁ良いだろう」
なぞ云いながら、飲み残しのアイスコーヒーを飲むフーコーは、
いつもりより大きく見えたような見えないような。