予定は未定


先日、夏も終わりのある夜。
朋輩のフーコーといつものファミレスで打ち合わせをしている時だった。

ようやく夏の暑さから解放され、心地よい季節になり、何なら食べ物も美味しい季節になり
運動にも最適な秋がきて、我々の誰も損得ナシの動画撮影も俄然快調に出来るので
今後新たな展開と作戦を施行せねばなるまいと髪の毛が抜け落ちるほどに考えこんでいた矢先。
どうにもフーコーの様子がおかしい。
こちらがこの先の動画はもっとCG技術を取り入れた、マトリックス的な作品をと提案しても
フコ「うーん。そうだね…マトね。うん…」
と気もそぞろで一向にこちらとの温度差が感じる。
当のフーコーはスケジュール帳を繰り、ブツブツと思案している様子。

ワタクシが、どうしたのだ?撮影の日程よりも今は、コンテツをどうするかだろ?
予定なんか未定だ。
我々の撮影に何十万と云う人がきっと待っているんだぞ。

と熱い情熱を込めて云っても

フコ「そうだね。コンテね。うーん…」
とワタクシの情熱も空振りの扇風機のように、何も届いてないらしい。

ワタクシもいきり立って
おい!さっきからスケジュール帳なんぞを見ながら何を考えているんだ!
見せてみろ!

とフーコーのスケジュール帳を奪うとそこには
バイキング娘と今後どこに行こうかという綿密な作戦が細かい字で書かれていた。
どこぞのホテルのビュッフェは旨いだとか、二人で行くなら中華バイキングだとか
どうでもいい、本当にどうでもいいことばかりが書かれていた。

ワタクシはそのスケジュール帳を見ながら、怒りに我を忘れてフーコーを大喝してしまった。

おい!今はなぁバイキング娘のことを考えている場合じゃないだろ!
撮影だ。撮影!ワタクシはもう2年もすれば40歳に突入するんだよ。
その前までに少しでも何か形になるようなことがしておきたいんだよ。
いわば思い出作りだよ!

と。云ってから少し言い過ぎてしまったと反省し

いやさ、フーコーの気持ちも分からないでもない。
いい年こいてとか思わないが、ワタクシの気持ちも少しは斟酌してくれまいか?
弁解に似た言い訳体の語句を紡ぐも

↑↑運ばれてきたパスタを申し訳なさそうに食べようとするが
きっと脳内では、
「パスタバイキングってのもアリだなぁ」と考えているに違いない。

まだ見ぬ海原を求めて航海をする北欧のバイキングのように。