就職戦線異常アリ
先日、いつものように朋輩のフーコーとミーティングをしようと、
数日前から日にちも決めていたのだが当日時間になっても現れず、
何度も矢のように催促メールを出し、皮肉やイヤミを書き送ってやったら、一行
「本日面接ナリ。」
との返信が。
面接?一体何の面接なのか?バイトか?
憧れのアマゾンでの集荷のバイトの面接なのか?
それともモテない男が陥る、キャバクラでの黒服への就職か?
止めておけフーコーよ。キャバ嬢がお主の相手なんてしてくれるものか。
潔くお金払ってかりそめのモテキを楽しもうじゃないか。
などと一人ファミレスで思案し、何なら泪までこぼれそうになりながら文面を拙速に打ち込んでいると
フーコーから先にメールが届いた。
「今から向かう。しばし待て」
それから数十分後にフーコーは待ち合わせのファミレスに到着した。
↑↑のようにYシャツにネクタイをしている。
ダビ「一体どうしたんぞな?その格好。面接って何の面接だったのだ?」
といつもとは違うちょっと一面のフーコーを見てしまい狼狽してしまった。
甲子園に出場している球児達がちょっとお兄さんに見えてしまうアレに似ていた。
フコ「どうしたも、こうしたももういい加減に就職でもしないとこっちも大変ぞな。
少しばかり前から就活してるんだ。まぁそれにしても厳しいな氷河期だな」
とネクタイを緩ますフーコー。
ドラマや映画や漫画でも見るような見事なネクタイの緩まし。
ワタクシには一生縁がないであろう仕草を事も簡単に仕上げている。
違う。今日はいつものどうしようもないフーコーなんかじゃない。
大体フーコーって。
今更だがコイツの名前にひどく苛立ちを感じる。
フーコーってあれだろ、振り子の人だろ。何したかは知らないけどさ。
一体全体どういう了見でそんな名前にしてるの?
面接官に
「フーコー君の特技はなんだね?」とか聞かれないだろうが。
とブツブツと頭の中でまさに振り子のように謎と混迷の間を揺れ動いていると
フコ「一体何の為に就職するのか分からないな。聞こえなかったラヴソングぞな、もし」
何だよコイツ。面倒くせーな。
といつもなら思うのだが、このネクタイ姿で云われると何だか妙に説得力がある。
就職戦線は本来なら6月くらいから始まるのだし、もう年齢的にも就活ってことでもないだろう
そういうことに気付かずに分けも分からずフーコーの雰囲気に呑まれてしまった秋の夕暮れ。
※本当は知り合いの偉い先生のお見舞いに行っただけでした。