ウサギありがとう
ファミレスで食事中、ダビデがこっちをじっと見る。
何かを思い出せと言わんばかりにじっと見る。
あまりに見られるもんだから、その何かを必死に思い出そうとする。
降参してもダビデは答えを教えてくれない。
答えは教えないがヒントは与えると言う。
ヒントは
“オレの顔をよーく見ろ”
だった。
手元のコーヒーが冷めるくらい考えた。
考えに考えてひらめいた。
正解にたどりついた。
答えは、ウサギだった。
ネズミにも見えるがウサギらしい。
この時期になると、来年の干支=辰ばかり話題になって
今年の干支=ウサギを忘れているのではないか、
というダビデから世間への忠告らしい。
確かに、年賀状のときはさんざんウサギウサギ言うけれど、
その後はパッタリと記憶から消える。
ならばダビデの言うとおり、ウサギにお礼を言おう。
ウサギありがとう。