地面に咲く桜


ダビデ氏を夜桜見物に誘うもムゲに断られ、
しかしその数日後のミーティングで偶然
桜並木に出くわした。

桜の名所でもなんでもない、
街の中にとけこむようにしてあるこじんまりとした桜並木。
思えば、桜咲く時期になるとあちらこちらで花ほころぶのを見かけ、
桜の木ってけっこう多いことに驚く。

なので、わざわざ出かけなくとも、不意の花見を楽しめたりする。
その“思ってもみなかったところで桜”がちょっとした感動を呼ぶ。

通りをゆく人たちは足を止め、カメラを向けたりしている。

ふと、足もとを見ると、木のつけねのすぐそばで
地面から咲いている桜の花を見つけた(↑写真)

珍しいというか、不思議というか、なにがどうなって
こうなったのか分からないが、ともかくダビデ氏を呼んだ。

ダビデ氏はこの桜を見るなり感傷的な表情を見せポツリと言った。

「まるで、我々のようだな」

ダビデ氏は私たちを何かに例えるのが上手い。

「綺麗に花開いてはいるが、こんなところでは誰にも気づかれないだろうに」


確かに、周りの人は木々を見上げ花を見ている。
下にあるこの桜の花にはなかなか気づかないだろう。

私は言った。
「つまりあれだな、どんなに我々がブログで書き綴ろうと、
 どんなにUSTREAMでしゃべろうとも、誰も見ていないのと同じだな」

ダビデ
「そうだ。世間の人はこの枝に燦燦たる花の様子を見上げ楽しむのだ。
下に咲く数輪の花に目がいくはずがない」


「しかしだ、ダビデ氏。誰も見てはいないが、咲いてはいるのだな?
この桜のように、確かに花開いてはいるのだな?」
すがるように確認する私

ダビデ
「そうだ。咲きっぷりは頭上の桜と何も変わらん。
変わらんが、咲いてる場所がずれてるだけだ」


それだけ聞ければ私はじゅうぶんだ。

しばらく2人でこの桜をじっと見下げ、私たちなりの花見を楽しんだ。

そんなとこに咲いていても、気づく人はいるのだぞ
そう語りかけると、大きくうなづくかのごとく
花が風に揺れた。