思案のしどころ


つい先日の撮影の折、新規開拓と称して新しいサイゼリアに行って来た。
新規開拓と云っても、メニューはチェーン店なので変わり映えは何もしない。
目新しくもなく、結句同じメニューを頼んでしまうのだから
同じ店に行けばいいと思うが、そこには新しい発見や出会いがあったりするのだ。

この日我々はとてつもなく腹ペコだった。
まさしくお腹と背中がくっついてしまうんじゃなかろうかと云うほどに
腹ペコだった。
撮影中も低音でワタクシの腹が鳴る。
気付かれていないだろうか。
ワタクシの鳴る腹の音にフーコーが気付いていたら恥ずかしいな。
気付いているのか、気付いていないのかフーコーは腹の音には言及しなかった。
ワタクシは恥ずかしさと切なさで胸がいっぱいになったが何とか撮影を終わらせた。

そんな一日だったので当然、食べる量もハンバーグ、大盛りライス、ドリンクバー、デザート。
と食べる食べる。
二人で食べ、写真を撮りあっていると
カップルが登場。
ワタクシ達の前を通りすぎてゆく。
見やると女性はかなりエロい衣服を装着しているではないか。
男性はというと、やや凡庸でどこにでもいるような普通の兄ちゃんだ。
大学生に毛が生えたような、人生の辛酸がこれから待ち受けるような体の男性だった。
ワタクシは目ざとく、その派手なチャンネーを凝視していると
フーコーが
「あれは絶対お店の女の子だ。そうじゃなきゃあんな男は連れて歩かない。
きっとお金であの子とサイゼリアに来て飯を食っているのだ」
それもアリだ。
その考え方も間違ってはいないだろう。
我々の思案の範疇の中では少しエロい女子はお金を使わないと一緒に歩くことも憚れる。
そういう回路に脳内が出来てしまっているのだ。
実際は違うだろう。
男性は凡庸だがとてつもなく優しく、経済状態も普通とみていいだろう。
そうじゃなきゃサイゼリアになんて来るもんか。
彼は優しい。そして彼女のわがままを許してあげれるのだ。

我々にはそんな優しさなぞはどこかに行ってしまった。
心地よい春の陽光が突然夏の激しい陽射しに変わってしまうように…。

↑↑の写真は食い入るようにその派手なチャンネーを見てたら
チャンネーと目が合って、睨まれてしまったので
突然つむった目をフーコーが激写した一枚でした。

私は見てません。
何も見ていません。
貴方のその突き出した胸のふくらみを、私は見ていませんから。