肩書きラプソディ


人生において何も成し遂げていない我々でも
ささやかに自慢できることがひとつある。

それはこのブログだ。
2人で毎日(正確には月曜から金曜)欠かさず書く。
この営みはいまだ途切れたことがない。

2人で毎日だから、1人は1日おきだ。
土日はないから1週間に2回、もしくは3回、自分の番が回ってくる。

一見すると、さほど難しいことではなさそうだが、
実はなにげにそうではない。
よくあるアイドルブログのように「今日は●●。これから行ってきまぁす」
などと1行でも書けば、その日のノルマは達成できるはずだが、
我々はそれをしない。
文章量に関わらず、なんらかの小文を書こうと奮闘している。
そうしようと決めたわけではないが、
いつのまにかそんな感じになってる。

なのでこれがなかなか簡単なことではない。

先日ダビデはこう、こぼした。

「書くことが何もない日もあってな、そういう時は私なりに
悩み苦しむわけだが、フーコーはどうだ?」

私だってまったく同じだ。
しかしそこは無理に虚勢を張った。

「そうか?私はちっとも苦しくないぞ。
これくらい書けなければ、コラムニストになんてなれないと思ってる」

ダビデは目を丸くした(↑写真)

「コラムニスト?それは初めて聞いたぞ。おぬし、コラムニストになりたいのか」

私「そうだ。コラムニストを目指すなら、これくらい書けて当たり前だ」

ダビデ「なるほど。では貴様がコラムニストなら、私はエッセイストを目指そう」

今度は私が目を丸くした。

「エッセイスト?それはコラムニストとどう違うのか?」

ダビデが不適に笑う。

「フフフ、貴様、それすらも知らずにコラムニストになりたいなどと言うのか」

思わぬ逆襲を食らった。
ダビデは知っているのか、その違いを。

「な、なにが違うんだ?パ・リーグとセ・リーグの違いみたいなもんか?」

ダビデは答えを提示しないままこう言った。

「そんなことでは、貴様がコラムニストになる前に、私がカヌーイストになれるな」

私「な、なに?貴様がカヌーイストになれるなら、私はピアニストにだってなれる」

ダビデ「ほほぅ、貴様がピアニストなら、私はアルピニストだ」

これではただお互いに「イスト」と言いたいだけはないのか。
しかしここまできたら私も引くことは出来ない。

私「貴様がアルピニストなら、私はイヌイットだ!」


・・・。

2人の間に沈黙が横たわったあと、ダビデが静かに言った。

「それは、違うな。貴様は日本人であって、イヌイットにはなれない」


なんともいえない無力感に襲われた私は、こうべを垂れるしかなかった。