机上の決闘

ダビデ氏がスマホで撮るとき
まるで正眼の構えであることは前に書いた。
↓このように、心技体がととのった構えである。


これにはスキがない、まったくスキがない。

その構えに感銘を受けた私が思わず
一本勝負の決闘を申し込んだらダビデ氏、

「よいかフーコー。勘違いするな。
私がこのような構えをするのは、
この食事を撮するときだけだ。
邪念などいっさい認められない、
全身全霊をもって被写体に向かわねばならないとき、
この構えをするのだ。
貴様のようなやつを撮るのにはこうだ」

と、私にスマホを向け↓このように構えた。


か、軽い、なんて軽い構え。
スマホが縦か横かの違いだけではない、
まるでフツーにケータイカメラを向けるのと
なんら変わりはないカジュアルさ。
そもそも、こんなんでは構えとは言えない。

「分かるかフーコーよ、貴様が私に決闘など十年早いのだ」

「ぐ、ぐぅ」

私の左手親指はすでに刀の鍔にかかっている。
このまま一気に上段から斬りかかっても今のやつには反応できまい。
そのチャラい構えでは。

しかし私は断念した。

戦う意志のないものと決闘はできない。

そのまま私は奴がチャラく構えるスマホに向かってポーズをとるのだった。