キッチンスモーカー


先日のことだ。
お洒落を自負するワタクシは、
何枚かのシャツ系の洋服をクリーニングしてもらうために行きつけの店舗に行った。

どうしてもためこんでから出したかったのでかなり汚れていたらしく
店舗で店員さんが
「これはひどい。これ漂白しないと落ちないかも。いやさ、漂白したところで…」
とワタクシのシャツを、考古学者が活断層を仔細に調査するように
襟元、袖口を見ていった。
そのシャツは昨年くらいに買った1万円のフルカウントの白のワイシャツで結構気にっていた。

「これ、ヤニですよね。ヤニがもう何かすごい…」
新種の恐竜の骨を発見したが如くワタクシのワイシャツの汚れを指摘し
少し嬉しそうだ。
「確実に落ちるかどうかは分かりませんが別料金で漂白しますか?」
と問われ、ワタクシは即座に
「イエス」
と答え、店舗を後にした。

ヤニ。

ワタクシは、この「全世界共通タバコは悪」という観点から及ばないほどの
ヘビースモーカーだ。
こうしてパソコンを打ち込む傍らにはいつも灰皿があり
器官や肺に煙を流し込み、部屋も白い壁が黄ばむほどに
煙を出し続けている。
そりゃクローゼットにある洋服たちもその煙の餌食になり
煙がヤニになり、悪臭と黄ばみをもたらすのだ。

なんてこった。

ワタクシの器官や肺は仕方ない。
自分がいけないのだから。
それに洋服を巻き込むのはどうも忍びない。
そう思ったら、部屋でタバコを吸う気力さえ失せた。
せめて、部屋の中でタバコを吸うのを止めよう。
すぐさま、部屋の灰皿を撤去し、キッチンへと持っていった。

タバコを吸うのはこの換気扇が大仰に回る羽根の下でと決め込んだ。
徐々にだがタバコを吸う量を減らそうと画策している。
もう何年も前からタバコをやめたいと思っているのだが
意志薄弱、頭髪薄毛のワタクシなので芯から止めれない。
誘惑とまではいかないが、つい。
この「つい」を少しでも軽減しようと、部屋では吸えないの。キッチンでね。
と一個面倒にすることで徐々に減らしていければいいかなと思う次第である。