スイッチオフ


ひとりで街を移動中のときは完全にスイッチがオフになっている。
なんていうか、雑踏の中にいながら世間から自分を遮断してるというか、
外を歩きながらも殻の中に閉じこもってるというか。
だから、とっさの事態に困ることがある。

先日、電車で座っていたら、となりに座ろうとした
中学生くらいの女の子が不意な電車の動きでふらつき、
私にぶつかった。

女の子は
「すいません」
と一度きり言うだけでは済まず
あらためて私に向かって
「すいません」
と言う。
ぶつかったといっても大したことではなく、
痛くもかゆくもないので、私はちっとも不愉快に思ってはいない。
一度「すいません」と言えばすむようなことである。

なのに計3回は「すいません」を繰り返した女の子。

私は、黙っていると顔が恐く見えるらしい。
なるほど。
きっとこの女の子も私を見て必要以上に恐がったのかもしれない。
それで何度もお詫びを。

それならば私も
「いいえ、大丈夫ですよ」
とか、しゃべらずとも大して癒しにはならない笑顔(写真上↑)
で会釈するとか、やればいいのだが、
それは冒頭にも書いたように
すっかり「スイッチオフ中」なので、
この女の子に対しての返答が即座に出てこない。
おそらく、この時の私は何の反応も無く、無表情だったに違いない。
この“無表情”がまた恐かったのだろうなぁ。

中学生に悪いことをした。