シュガータイム

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エコーをふかしながら、PCのモニターを睨みまわし
一歩も打てないメールについて考えている。
外では雨が降っているようで、雨足のパタパタと聞こえる音が
さも自分がタイピングしているかのようで
その割にはカーソルは同じところを点滅し続けているのが、やけに気になる。

新しいアルバイト先を探していたのだが、
何日間かしてようやく「ここ!」というところを見つけることが出来た。
しかしながら応募の志望動機は?という欄でつまってしまっているのだ。
ここは大人らしく「貴社の社風に感銘を抱き、自分自身の可能性を鑑みて応募するに至りました」
的なことを書いたほうがいいのか。
そもそも私の文章が正解かどうか疑わしい。
私はまともな会社で働いたことのない、社会人失格の烙印をずいぶん前に押されているので
こういった重要書類になると、気が萎えてしまう。
気楽に生きたい。
こんなもん、ネットに転がっている体裁の良い文章をコピペしてしまえば楽なのだが
今回はそうもいかない。
エコーの本数が増え、煙はまた肺に広がって少しづつ、しかし確実に私の寿命を奪っていく。
こうして、モニターを睨みながら明日の着て行く服のことを考える。
明日は寒いのだろうか?
寒いならいつものアレとアレを合わせて、下がアレなら靴はアレで。
なんて考えているうちに猛烈に眠気が襲ってきて、グズグズとベッドに横になり寝てしまう。
面接している夢をみた。
野原の真ん中で長机とパイプ椅子。
椅子の上にはターザン山本みたいな男の人がこっちを見ながらニヤニヤしている。
私はスーツにネクタイを締めて靴は何故かニューバランスの赤を履いている。
似合わない恰好で来てしまったことにずっと後悔しながら
バツが悪そうに立っている構図を俯瞰した位置から見ている。
空はどんより曇っていて、今にも雨が降り出しそうだ。

ターザンが私に話しかける。
「志望動機は?」

「若い女の子と知り合えるかと思ったので…」

そう言って目が覚めた。
起きると天狗の面が枕元に横たわっていた。

そして、いつものように幾千もの天狗の動画が挙がっているのであった。