私の視界はせまい


私はいったい何処にいるのか。
手元では手帳を開き、これから先の予定を立てるには万全の準備態勢、
少し先には食べ終えたドリアの皿、腹はじゅうぶんに満たされた。
向こうには大きく開けた窓があるが、
手前にある仕切りと曇りガラスでよく見えない。
さらには両脇も視界から外れてよく見えない。
となりに誰がいるのかも分からない。
ゆく先に何があるのか分からない。
テーブルにあるボタンをおせば店員がかけつける。
どこからかカン高い笑い声が聞こえる。
私は、ひとりではないようだ。
羅針盤を失った航行はつづく。