さして人生の煌めきを語らず


40歳を超えれば
人生も半分くらいに差し掛かったと悟り、
これからは、未来よりも過去の時間のほうが長くなることは
容易に察しがつく。

今まで成しえなかったことが、
これから先に成せるはずもなく、
今さら鼻息を荒くしても、
増え続ける過去を
残り少ない未来でひっくり返すことなど
とうてい出来るはずもない。

ドトールでひとり過ごす時は、
満席になったら次に来る人のことを考え店を出る。
たったそれくらいの心意気と、
世の中の理不尽さを目にしたときは
ひたすらに悶々と怒りをこね回す程度の正義感で、
たかが40年あまりを漂っていただけ。
ただ、それだけ。

わたしが選んだ生き方とはこういうことだったのかと、
他人事のように気づくとき、
おのずとこれから先も見えるような気がする。
先が見えると肩の力も抜ける。

人生とは、それほど大げさなことではない。
ただ死ぬときに

大した人生ではなかったけど、まぁそこそこだな。

そう振り返ることができればじゅうぶん。
死に方を決めれば生き方も決まる。
この考え方は、ここ10年ほど変わってはいない。

(写真 ドリンクバーの抜け殻だけが、私の足跡を示す)