続・気の毒カフェ

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私は作家の楡山小朗太
何年か前に「魔法高校3年B組」というライトノベルを一冊描いたことがある。
それ以来、一度も仕事の依頼がこない。
それでも、依頼のない仕事の為、短編、中編、長編と書き溜めた作品は数多い。
無論、出版社に持ち込みにも行くが箸にも棒にもとはこのことだ。

私が執筆するのは決まって近くの喫茶店だ。
風采の上がらない二人の男性が店を切り盛りしている。
切り盛りするほど毎回お客はいない。
いつも私だけのような気がする。
気分がのって、周りが見えなくなって、10時間くらい筆を進めていても
帰れ空気も出さないで、私を静かに見守ってくれる。
無論、コーヒー一杯で10時間いるのだが。

コーヒーが美味いかと言われれば、別段美味くも不味くもない。
普通。
多分私が家で淹れたコーヒーとさほど変わりがないであろう。
しかも場所も表通りから外れていて見つけづらい。
何故こんなところでお店を?的な所にある。
だからと言って馴染みの客がいるわけでもなさそうだ。

気の毒な店だ。

私はこの店に気の毒カフェと名づけることにした。