焼きそばに目玉焼き


何を食べようか、
そう考えるときはどんな気分かというのに続いて
財布の具合もうかがう。
懐寂しければ、それ相応のものを食すしかない。
そんな場合、多くは立ち食い蕎麦に世話になる。

この日は焼きそば。とあるところのフードコートみたいな処にいたので、
その中ではこの選択が良しと判断した。
他の、定食系になるともう少し値が張る。
店の前に立ち、普通の、いたってふつーの焼きそばを頼む。
大盛りでもない、何かトッピングされてるものでもない。
一番スタンダードなやつ。
すると女性店員が、どこか異国の人だとわかるイントネーションで

「プラス100円で目玉焼きがつきマスケド?」

それでもかなり流暢な日本語で聞かれた。

私は卵が好きなので、それと見事な語学力に感心して
思わず目玉焼きを頼んでしまった。

これじゃあ意味がない。なんのために焼きそばにしたのか。

注文を受けた彼女が私の焼きそばを作り始めた。
この時間はひとりで切り盛りしてるようだ。

そんな彼女の頑張りを見てると注文に後悔はないが、
ふと財布を見るとため息が出る。

こういう時、昔見たテレビ版の宇宙戦艦ヤマトを思い出す。
「地球滅亡まであと125日」
そんなカウントダウンがこの財布の中でされてる気がするのだ。