確かに「自家製」と言った


また入ってしまった。
見ず知らずの町で見かけたサイゼリヤ。

そしてまた注文してしまった、
野菜ソースのハンバーグ。
“自家製”という言葉が無くなって名前が短くなったぶん、
すらっと一言で言い切れる便利さはある。

ここはエアカーテンで禁煙と喫煙を仕切るタイプ。
相変わらずサイゼリヤのエアカーテンは性能が悪い。
私がいる禁煙席もなんだかタバコくさい。
いつも行くあのジョナサンのエアカーテンは煙を微塵も感じさせないほど
優秀なのに。

そんなことを考えていると、私より8つほど年上の女性が品を
持ってきた。
テーブルに置きながらやや小声で

「自家製野菜ソースのハンバーグです」

!!
自家製と言った。
いま、自家製野菜ソースと言った。

自家製ではないはずなのに。
確かに言った。
それがホントであることを証明する術は何もないが、
確かに言ってた。

まぁ、目隠しして食べ比べても
どちらが自家製で、どちらがそうでないかなんて
私には分からない。
もしかしたら、せめてただの野菜ソースを
自家製だと思って食べてみたら?という
女性店員の粋な計らいなのかもしれない。
疑似自家製野菜プレイなのかもしれない。

ひとつ言えることは、
あの女性はかなり長くサイゼリヤで働いてる、ということだ。
少なくとも今年の4月以降からではない。
口から自然に
「自家製野菜ソース」
と出てくるほど長く働いているのだ。

これからもどうぞお元気で。