ガンダムはハゲない


ずいぶん昔、根本氏と夜のミーティング中、
突然思い立ち、二人でお台場までガンダムを見に行った。
暗闇に浮かぶ原寸大モビルスーツは想像していたよりずっと
「兵器」としての恐ろしさを醸し出していた。

あれからどれくらい経っただろうか。
ひさしぶりにお台場のガンダムと対面した。

ガンダムは、あれは頭にカブトを被ってるのだろうか
それともあれが地頭なのだろうか。
ウルトラマンがハリウッド映画化されるとなった時、
あれは服なのか、ああいう皮膚なのかと
ハリウッドスタッフに質問され日本側が答えに窮し
映画化がとん挫したという噂と同じことを考えていた。

いやどちらにしろ、ガンダムはハゲない。
現状、毛らしきものがない以上、ハゲない。

しかし毛はなくとも、塗装がハゲることはあるだろう。
となると塗り直すまでのあいだ、ガンダムはハゲている。
ガンダムもハゲるのだ。

だがそのハゲを我々は見ることができない。
我々が見上げる立場にいる以上、見ることはできない。
ガンダムはいつも我々のハゲを見下ろしているのに、だ。

思いがけず自分の無力さを感じた平日の午後。