最高に旨いエア寿司 ~銀座 くわ野~

桑野達也(くわのたつや)氏…高校卒業後、永田町の名料亭で和食の修行を積む。27歳で寿司職人を志す。赤坂の希扇(※閉店?)で修行。2005年独立。

一、星鰈(←鰈の王様!)桑野氏「一晩から二晩くらいねかせたほうが美味しいと思います」
二、鱚(千葉県富津)白板昆布で軽く〆る
三、新子 塩と酢で〆、おぼろをはさんで握る。4枚づけ↓※夏の風物詩
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四、大トロ(日本海産)夏の時期に脂がのってる鮪はあまりない。
五、鮪のづけ 熱湯をかけて表面を白くし、氷水につけた後、水けをとってからヅケにする(=昔ながらの“湯しもづくり”という手法。醤油につかりすぎない)赤坂の喜久好(※閉店)で学びました。
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六、シマアジ(三宅島で捕れた天然もの)伊豆七島はシマアジの名産地。夏が旬。
七、蝦夷馬糞海胆(北海道余市)海胆の形を保つためのみょうばんを使わず、海と同じ塩水につけてる。軍艦で。
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八、鮑(千葉県大原)大根と一緒に酒蒸しに。柔かくなってます。
九、穴子(長崎県対馬)青ゆずの皮を削ったものをシャリにつけて握る。
十、白烏賊(=剣先烏賊@山口県萩産)塩と酢橘をのせる。


<本日のエア>
エアするのは寿司だけではない。店内の様子もエアして感じながら食す。
今日は隣にかっぷくのいい50代、会社で言えば取締役クラスのスーツ男。そしてスーツ男が連れてきた、若いとは言えないが無口で上品な女性、の二人連れ。
男は常連なのだろうか、テンション高めに店員さんと親しげに話す。
鮪が出てくれば「これはどこの鮪?大間?やっぱ鮪は大間に限る!」とこれまた大きな声で言いながら食す。烏賊が出てくれば食して「うまい!」と大きな声。女性の前でカッコつけたい想いがヒシヒシと伝わってくる。
一方の女性はもの静かだ。寿司屋には慣れていなさそうだが、男の発言に応えることなく淡々と食している。どうやら妻とか愛人とか、そこまでの近しい関係ではなさそう。
おそらくこの女性を口説きたいスーツ男は終始大きな声で寿司通気取りだ。しかし素人の私が聞いていてもそれはホントに通なのか、ということばかり。

寿司屋は独特のマナーやしきたりもさることながら、そこで展開される人間模様も独特だ。寿司屋には魑魅魍魎が集まる。女性にいいとこ見せたい男。寿司通を気取ってカッコつけたい男。しかしそれが本当に出来る人はわずかなんだろう、とスーツ男を見てて思ったエアな午後1時。

エア元→http://www.twellv.co.jp/event/sushi/gallery/07.html