最高に旨いエア寿司 ~大阪・北新地 寿し おおはた~

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大畑雅達(おおはたまさみち)…複数の寿司店で修行後、2011年独立)

一、鯛 握る前に昆布に挟み、上から重しをかけて5分ほどおす。
二、鯖 砂糖と塩を混ぜたもので〆る。生姜とあさつきをはさんで握る。
三、鰹(宮城県気仙沼の戻り鰹)生姜醤油に軽くヅケに。
四、鰤(北海道函館)4日ねかせる。
五、小鰭(熊本)塩とグラニュー糖をつける。
六、金目鯛 みりん、酒、薄口醤油、粉末昆布を入れた出し汁につける(昆布締めのような感じになる)
七、牡蠣(北海道厚岸)マグロ節で作った出し汁で煮て、グラニュー糖と柚子皮を入れてつけこむ。蛤の煮汁で作ったハマツメを上にぬる。
八、車海老 海老の殻を煮詰めて作ったエビツメを上にぬる。
九、穴子 砂糖を使ってモミこみ、ぬめりや雑味をとって、穴子の骨や肝でとって出し汁に入れ、昆布を載せてたく。30分後、甘さ控えめの果糖をと継ぎ足しの煮汁を加える←あとから加えるのがポイント。最初からだと硬くなってしまうでしょう。
十、玉子焼き 海苔巻で(↑写真)玉子に生クリーム入れてます。

※シャリは米酢2種、赤酢2種、塩2種、グラニュー糖とみりんで作る。


<今日のエア>寿司屋というステータス
エアするのは寿司だけではない、店内の様子もエアして感じながら食す。
今日のとなりはスーツもオシャレ風に着こなし、かけるメガネもオシャレ風、職業で言ったら広告代理店の端くれ、のような40代男がひとり。
どうやら常連らしく、すべての店員と親しく話し、いちばん下っ端の店員さんには「ちゃん」づけで呼ぶ。カウンター内で握る若い職人さんも冗談交えながら話し、場はなごやかだ。
何貫か握ったあと、若い職人さんが「今日のシャリはどうですか、少し変えてみたんですけど」と勉強熱心な感じで常連男に尋ねる。
男は「あ?あぁ」と言いながらなんとなく無難に、しかしぼんやりと感想を述べた。どうやらシャリが変わったことなど気づいてないようだ。
若い職人はそれでも意見を参考にしようといろいろと聞く。今度は「今日の烏賊はどうですか、もっとサクッとしたほうが好きですか?」
男はまたも「あ?あぁ…俺は…」などとぼんやりと答える。障泥烏賊は柔かい食感とか、墨烏賊はサクッとした噛みごたえ、とかいうことには関心がないようだ。
うまくはぐらかして答えた感じには聞こえるが、おそらく職人さんにとっては的外れな回答だろう。
男は行きつけの店としての寿司屋に安穏としてるだけで、味覚に敏感なタイプではないっぽい。
早川氏のような鋭いコメントはできなくても、自分が感じたように言えばいいのだが、そもそも感じなければ何も出てこない。
彼にとって大事なのは「常連であること」だ。ステータス、行きつけの寿司があるというステータス。それさえあれば味など二の次なのだ。
寿司屋には魑魅魍魎が集まる。