最高に旨いエア寿司 ~築地 さが美~

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野谷峯雄(のやみねお)
18歳から銀座・勘八で修行。おまかせよりは好きなものをお好きなだけ召し上がっていただきたい。名前が分からない魚はどんどん聞いてほしい。

一、クエ(愛知県産)さばいて身を水で洗い、氷でしめる(いったん白くなるが良い魚は元の色に戻る。悪いのはそのまま白い)
二、小鰭(佐賀県産)塩して25分。酢で洗い、酢で〆る。
三、水松貝…冬が旬 さっと湯通し
四、赤貝(仙台湾)塩でもみ、水ですすぐ。
五、鯖(長崎県対馬)塩で〆てから3時間酢〆した後、昆布に挟んで2日寝かす。玉ねぎのオイル漬けをのせる。
六、細魚 蝦夷馬糞海胆をのせる(↑写真)
七、車海老(東京湾)刺し網漁で獲れたもの(生かしておかないから味がそのまま。水槽に泳がしておくと自ら身を減らしていく)
九、穴子(長崎県対馬)握る直前に炙る。
十、鮪のヅケ(青森県三厩)5分ほど漬ける。


<今回のエア>大げさな客
エア寿司は鮨そのものだけでなく、店の雰囲気や周りの客も含めたエア店内でいただく。
今回いたエア客はエア男女カップル。恋人や夫婦ではなく仕事上の付き合いっぽい。男は30代か。女性は20代。ふたりとも初めての来店らしい。
一貫目が出てくるまでの間、男が先日行ったレストランの話を女性にする。食べログでは評価良かったが自分はいまいち、的な感想。この時点でグルメ気取りな匂いがし始める。女性もけっこうノリノリで聞く。
そしていよいよ握りを食す。すると男は「おいしー」とけっこうな大きな声で感想を漏らす。さらに「寿司はかくあるべきって感じだね」と、のたまう。
なんじゃそりゃ。
職人さんに向けてではなく、となりの女性へ、もしくは独り言ぽい感じなのだがその範疇を超えた大きな声で言うので、職人さんも思わず「ありがとうございます…」と礼を言うが、少し戸惑い気味だ。
これが2貫目以降もつづく。「ん~おいしい」またも戸惑い気味に職人さん「ありがとうございます」
なんだなんだ、一体なんだ。早川光か。美味しいなら普通に職人さんに「おいしいです」と言えばいいものを、なんだその大げさな感じ。
さすがエア寿司。とうとうエア早川氏も登場だ。いや、早川氏だってテレビ用にああいうリアクションと感想を述べているだけで、カメラがなければあんな感じではないはずだ。
いったい何を考えているんだこのエア男は。と、こちらが本気で悩んでしまう。
寿司屋には、魑魅魍魎がうごめく。