最高に旨いエア寿司 ~神戸 鮨 生粋~


福原大介(ふくはらだいすけ)氏…阪神淡路大震災をきっかけに24歳で実家の寿司屋を継ぐ。

一、鯛(淡路島…旨味が濃い)たて塩でさっと洗うことによって表面にぬめりが出来、それが旨味をコーティングする役割りに。
二、細魚(淡路島)塩して5分おき、昆布をのせるだけの軽い〆
三、大トロのはがし(蛇腹)2週間熟成
四、小鰭 塩して40分、素洗いしてさらに40分酢で〆、2日ねかす。
五、蛸の桜煮 冷蔵庫で1週間ねかす。やわらかさは徳島県阿波産>明石産
六、鯖 しっかり焼き目がつくくらいあぶってから握る。
七、鰹 藁でいぶす。
八、鰆 1週間熟成させて、30分ネギ醤油に漬ける。
九、喉黒 塩して30分おく。握る直前に軽くあぶる。
十、穴子※煮ツメと塩の2種で。煮ツメは穴子の煮汁と煮烏賊の煮汁を合わせたもの。早川氏「このツメも江戸前の古い仕事ですが、どこで知ったのですか?」親方「早川さんに(笑」早川氏「恐縮です(笑」


<今日のエア>勇み足という愛
エア寿司は鮨そのものだけでなく、店の雰囲気や周りの客も含めたエア店内でいただく。
寿司屋は常連になることが通、みたいな面倒な慣習があって、客は常連になりたがるし、店側も常連客を常連客として相手しなくてはならない。
そもそも常連とは、好きで通ってるうちに自然と互いに顔見知りになるという「結果」であって、それを最初から目的にすると、どこかおかしなことになる。

この日のエア職人は元気のいい、好印象な若い職人さん。
目の前の予約席に通された老夫婦に「あけましておめでとうございます」と顔見知りな挨拶をする。
少し当たり障りのない会話をした後、若職人が発したのは「名古屋はどうですか?」。

しかし老夫婦は「名古屋・・・?」

どうやら若職人、違う客と勘違いしたらしい。
その後は笑いも起こり「間違えやしたー」と終始照れる若職人。
大丈夫、それくらいの間違えはなんてことないさ。
老夫婦もまだ常連になったかならないかくらいの客でしょう。
そういう客を常連として認めてあげたい、というささやかな愛が生んだ不覚のハプニング。
すべてはこの「常連が通」という面倒くさい慣習のせい。

(写真・わたしもたまに行くファミレス(↑写真)で「いつもありがとうございます」と言われたことがあるが、別に常連として認めてほしいわけではない)