最高に旨いエア寿司 ~銀座 鮨太一~

石川太一 氏…碑文谷の「逸喜優」他で修行しました。実家は調布のお寿司屋さん。

一、鮃 羅臼昆布で半日。
二、赤身(大間産160㎏)陶板にのせ常温に戻す。煮きりを塗って軽くヅケにする。
三、中トロ( 〃 )
四、小鰭 塩あてて20分おき、酢で30分〆、3日ねかせる。
五、煮蛤(鹿島灘)外房の蛤はちょと硬い。
六、鯖(青森県八戸)塩ふって90分おき、酢で45分〆、2日ねかせる。
七、車海老(大分県別府)巻エビと呼ばれる15センチほどの大きさ。ミソとおぼろをはさむ。
八、細魚(東京湾)羅臼昆布で3~4時間
九、春子(鹿児島県出水)熱湯にさっとくぐらし、塩水で〆、軽く酢で洗う。
十、穴子(長崎県対馬)20分ほど煮る。


三代目桂三木助は「芝浜」の枕で「1月になりますと人形町界隈に小鰭の寿司を売りにまいりまして・・・」というくらい小鰭は1月


愛人.jpg
<本日のエア>こちらの勝手な予想にすぎません。
エア寿司は鮨そのものだけでなく、店の雰囲気や周りの客も含めたエア店内でいただく。
私がひとり黙々と寿司を食していると、サングラスをかけた女性が入ってきた。カウンターの一番奥に通されると、サッとサングラスを外す。若くはないが、実年齢よりは若く見られるであろう女性。仕立てのいい洋服を着てるのでお金持ちであることは一目瞭然なのだが、それにしてもお金持ち特有のツンツンした感じが出まくってる。小さな会社の社長としてバリバリ働いてるタイプだ。
この店では常連のようで、カウンター越しの職人さんとはずいぶんくだけた会話をしてる。その話し方もけっこうツンツンした感じだ。
やがて連れの男性がやってきた。女性と同じ歳くらいの、決してイケメンではないがやはりお金を持ってる感満載の男性。言葉少なにそのまま女性のとなりに座る。
すると女性が豹変した。さっきまでのツンツンはどこへやら、急に甘える感じになって男性に話し始めたのだ。
果たしてこの二人の関係は何か。
私の考えでは愛人だ。理路整然とは説明できないが、夫婦ではない。そういう雰囲気、としか言いようがない。女性は男性に体を預けるように甘え、男性はいつのまにか片手を女性の椅子の背もたれに回している。男性は言葉少なに表情をかえることはないが、女性は楽しそうに話をしている。
愛人同士。
あくまでこれは予想に過ぎないし、間違っている可能性も大いにあるが、なぜかそう思える。男女が醸し出すものって不思議だ。お互いに仕事で成功し、どこでどう出会ったかは知らないが、今はこうして寿司屋での密会を楽しんでいる。
職人さんは事情をすべて知っているが、野暮なことはしない。
寿司屋とは、まるで深海の底のようだ。

(写真↑もしこれがサイゼリヤだったら、といめんに愛人が座るのだろうか)