カップ焼きそばの思ひ出

昔、自主映画を撮ったり出たりしてたころ、当時は8ミリフィルムもまだ健在で、撮影をすべて終え編集も出来上がると、次のアフレコ作業を監督の家に行ってやってたことがありました。
監督の部屋で午前中からアフレコしてると、監督のお母さんがお昼ご飯としてカップやきそばを作っておいてくれました。お湯を入れて3分後に湯を出してソースと混ぜて、あとはもう食べるだけっていう状態で部屋の前にそっと置いておいてくれるんです、人数分のカップ焼そばを。
おそらく監督がお母さんに頼んでそうしてもらってたんだと思いますが、こちらも作業のキリのいいところでお昼にするので、焼きそばがしばらくずーっと置いたまんまになってたりします。
なのでさぁ食べるぞという時には焼きそばもすっかり冷めていて、ラーメンなら伸びてる状態になるのでしょうけど汁もない焼きそばなのでなんというか、独特の時間経過を重ねた状態になってます。
でも、これが美味しいのです。下手したら出来立てよりも美味しいんじゃないかっていうくらい美味しい。
その美味しさを家で再現したくて、作ったカップ焼きそばをわざと長時間放置してから食べてみるのですが同じにならない。どうにも美味しくない。当たり前ですがただの冷めた焼きそばにしかならない。
あの美味しさはなんだったのだろうと未だに思い出すことがあります。