東京会議「動画対決」

たまに見てます、東京会議。
今回は松任谷さん、小山薫堂氏、ハービーさんの三人による動画対決の結果発表。今まではスチールの対決だったのが初の動画対決、作品は三人の色がより顕著になったのが興味深かった。
小山氏は言葉、松任谷さんは音楽、ハービーさんは被写体、それぞれがプロとして営んでることに寄っていくのは当たり前といえば当たり前かもしれませんが個人的には意外だった。動画制作というのは三人とも本業ではないので、よりそれが顕著に出たのかもしれません。

結果から言えば、一等は小山氏。
面白いのは、プロの審査員で一番得点したのは松任谷さん、一般観客で一番得点したのはハービーさんだった、ということ。
小山氏はプロも一般の心もつかむことは出来なかったが、平均して点をとれたので一等賞になったわけです。これが“審査”の面白いところ。結果というのはいろいろな要素が絡まって生み出される、というのは我々もなんとなく経験してるのでこの現象はよく分かる、って感じ。

当然、自分だったらどの作品に投票するだろうと考えながら見ます。
小山氏のは“いかにも”って感じで好きではありません。こういうのはとても薄っぺらく感じてしまうのです。ひとりのプロ審査委員が言ってた「言葉で語りすぎ」というのもひとつあるかも知れません。これ映像作品なので。でも言葉で仕事する小山氏らしくていいと思うし、一般にはウケるだろうなぁと。とうぜん一般投票では一番点を取ると思っていましたが、実はそうでなかったのが意外。
しかしながらこういう「そこそこウケる(=外さない)」というのが小山氏の仕事のすごいとこなんだと思うし、大事なとこなんだと思う。ポンコツ動画にはこれが決定的に欠けてる。

松任谷さんのは好きです。独特の世界観がすでに出来てて、音楽家らしく画と音で表現してるところが。まぁミュージックビデオっぽいと言えばミュージックビデオっぽいけど。一般観客には一番ウケなかった。

迷ったのはハービーさん。完成度という点では小山氏と松任谷さんと比べてブッちぎりで荒削り。しかも他のふたりは虚構の世界を描いてますが、ハービーさんのは“実像(=生)”です。このナマ感覚っていうのが映像作品においては非常に強い力を持つ。つまり客に刺さる威力がすごい。でもたぶん今回のこれは100秒では足りない題材なのかもしれない、作りも荒いし一般には受けないだろうと思いましたが、でも一般観客から最も多く得票した。やっぱり作品が持つ“力”ってこういうことなんだと思いました。完成度とか綺麗さではなく、魂。なんてね。というか、小山氏に流されずこれを選んだ一般観客はお目が高いなと驚いた。

というわけで、松任谷さんかハービーさんか非常に迷った上でのハービーさんに一票。
なんか、8ミリで映像を作ってたころを思い出したんです。